富山禁魚区は台東県卑南鄉杉原の海域にあります。都蘭湾の南端に位置する台東県唯一の海水浴場で、かつては「杉原海水浴場」と呼ばれていました。
富山海域は豊かな漁業資源が自慢でしたが、十数年前の過度な漁獲が原因で、海域の生態は破壊され、漁民の生活に深刻な打撃をもたらしたばかりか、行楽地としての価値も低下していまいました。
しかし、2005年に禁魚区に定められてからは、豊かな潮間帯の生態が息づく海岸として復活しました。今では、魚類も珊瑚礁も非常によく保護されています。
禁魚区が設けられたばかりの頃は、漁民の生活に不便を来たしましたが、魚類棲息地の保護が浸透するに従い、禁魚区外の魚群が増え、魚穫も安定してプラスに推移しています。
富山禁魚区の設立により、国内からの観光客の他に、日本、カナダ、韓国、中国等からも観光客が訪れるようになり、地元に活気をもたらしています。海洋生物の回復につれて、地元住民は生態解説員、スノーケルのガイド等として生活の糧を得るようになりました。
地元では「親子でビーチ宝探し」、「休日海岸掃除」、生態教育等の「海岸資源保護育成─永続発展」推進イベントを開催しており、杉原海洋資源保護協会はこの海域で生態調查を行っています。
富山では海、生態、地元住民の三者がしっかりとつながり、美しい「海洋エコロジーコミュニティ(Marine Ecological Community)」を形成しています。さまざまな角度から海洋資源を保護することで、永続可能な発展を目指しているのです。